愛犬が眠っている間に見せるピクピクとした動きには、主に3つの医学的・生理学的な背景が存在します。日常的な現象の背景を知ることで、不要なパニックを防ぐことができます。
最も代表的な原因が「レム睡眠」に伴う現象です。犬の睡眠サイクルは人間と同様に、浅い眠りで脳が活動している「レム睡眠」と、深い眠りである「ノンレム睡眠」を繰り返しています。犬は人間よりもレム睡眠の割合が高く、睡眠全体の約8割を浅い眠りが占めます。このレム睡眠中に、昼間にドッグランを走った記憶や遊んだ体験の記憶整理(夢)が行われており、脳からの運動指令がわずかに筋肉へ漏れ出ることで、手足が小刻みに動いたり、走るような仕草を見せたりします。
2つ目は、医学的に「睡眠時ミオクローヌス」と呼ばれる生理現象です。入眠時や深い眠りへの移行期に、意思とは無関係に筋肉が瞬間的にピクッと収縮する現象で、人間が眠りに落ちる瞬間にビクッと体が動く現象と同じメカニズムです。病的なものではなく、成長段階を問わず健康な犬にも日常的に発生します。
3つ目は、年齢による神経伝達の差異です。子犬が睡眠中にピクピク動くケースでは、未発達な神経系が急速にシナプスを形成・発達させている過程であることが多く、成長とともに落ち着いていく傾向があります。一方で、老犬が寝ている時にピクピク動く場合は、筋力の衰えによる震えのほか、神経伝達の鈍化や軽度の認知機能障害が関与しているケースもあるため、日中の行動変化とあわせて注意深く観察する必要があります。