ネット上でよくある誤解が「漫才とコントは同じお笑いだから区別する意味がない」という意見だ。だがこれは現場を知らない観客の印象論に過ぎない。確かにテレビ番組では、漫才とコントが同じ「ネタ」コーナーとして扱われるため、視聴者にとっては区別がつきにくい。しかしネタの設計思想も、求められる技術も、制作の工程も異なる。
また「コント漫才」と「漫才コント」という呼称も混乱を招いている。コント漫才は、漫才の基本形式(2人でマイク前に立つ)を保ちながら、特定の設定や役を演じる形式を指す。一方、漫才コントはコント形式でありながら会話劇を主体としたものを指すことが多い。どちらも中間形式だが、起点が漫才かコントかで分類が変わる。
さらに「コントは漫才より簡単」という見方も誤りだ。一見すると会話だけで成立する漫才の方がシンプルに見えるが、実際は正反対で、漫才は誤魔化しの効かない高度な話芸だ。道具や設定で笑いを補強できない分、言葉の切れ味と間合いだけで笑わせる技術が求められる。一方、コントは脚本・演技・演出という複合技術が必要で、これもまた一筋縄ではいかない。簡単な形式など存在しないのが、お笑いの世界の厳しい現実である。