国土交通省の土地利用統計や不動産流通各社のレポートを分析すると、ロードサイドの遊休地活用の潮流が過去10年で構造変化を起こしていることが浮き彫りになります。かつてコイン洗車場は、地主にとって「初期投資が少なく、将来的な転用が容易な暫定的な土地活用」の代表格でした。しかし、この数年でそのビジネスモデルは根底から覆っています。
コイン洗車場が激減した最大の理由は、地価・固定資産税の上昇と土地利用効率の極大化にあります。特に三大都市圏や地方中核都市では、EC市場の拡大に伴うラストワンマイル配送拠点(小型物流施設)や単身者向け賃貸マンション、あるいは手離れがよく安定収入が見込めるコインパーキングへの転換が相次ぎました。広い敷地を要するコイン洗車場は、坪あたりの収益性において圧倒的に不利な立場に追い込まれたのです。
さらに運営者を直撃しているのが、電気代・水道料金の高騰と設備の老朽化更新コストです。ある老舗洗車場の経営者は「高圧洗浄ポンプの更新費用や漏水対策の配管工事に数百万円規模の設備投資が必要となった段階で、事業承継を断念し土地を売却するケースが後を絶たない」と明かします。加えて、深夜から早朝にかけてのアイドリング音やドアの開閉音、オーディオの重低音に起因する近隣住民からの苦情が行政や警察に寄せられ、営業時間の短縮や廃業を余儀なくされた施設も少なくありません。