森繁久彌が『もののけ姫』で見せた怪演の真相…宮崎駿が震えた瞬間

森繁久彌が『もののけ姫』で見せた怪演の真相…宮崎駿が震えた瞬間

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『もののけ姫』における宮崎駿 森繁久彌 起用理由の根底には、宮崎監督自身の半生を揺さぶった個人的な原体験が存在します。宮崎監督が高校生時代に鑑賞し、アニメーションの世界へ飛び込む決定打となった日本初のカラー長編アニメ映画『白蛇伝』(1958年、東映動画)。この記念碑的作品において、声の出演として複数の登場人物を自在に演じ分けていたのが、若き日の森繁久彌さんでした。

宮崎監督にとって森繁さんは、映画界の大先輩という枠を超えた「自らの表現者としての原点」に位置するカリスマでした。もののけ姫 キャスティング経緯において、鎮西(九州)から一族を率いて海を渡ってきた500歳の古の猪神・乙事主の配役が議論された際、宮崎監督の脳裏には森繁久彌さん以外の選択肢は存在しませんでした。長老としての威厳、一族の血筋に対する傲慢なまでの矜持、そして老耄(おいぼ)れてなお失われない生命の艶っぽさを兼ね備えた表現者は、日本芸能界広しといえども森繁久彌さんしか考えられなかったのです。

当時、すでに文化勲章受章候補に名が挙がるほどの重鎮であった森繁さんに対し、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫氏と宮崎監督は極めて丁重なアプローチを試みました。宮崎監督は自ら筆を執り、乙事主というキャラクターの過酷な運命と、この役に森繁さんの声が不可欠である旨を情熱的に綴った直筆の依頼状を送付。これを受け取った森繁さんは、監督の熱狂的な敬意と作品の壮大な骨太さに胸を打たれ、異例となる森繁久彌 ジブリ出演が正式に決定しました。

前田 葵
著者

前田 葵

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。