ネット上の質問コミュニティやSNS上には、「排尿痛があったが忙しくて受診できず、ドラッグストアの市販薬で抑えようとしたら翌日に激痛で倒れた」という生々しい体験談が無数に投稿されています。なぜ市販薬に頼ることで事態が悪化してしまうのでしょうか。
薬局やドラッグストアで入手できる膀胱炎向け市販薬の多くは、生薬成分や漢方製剤(猪苓湯など)、または抗炎症・排尿促進作用を中心としたものです。これらは「菌を尿とともに洗い流すサポート」や「軽微な炎症の緩和」には寄与するものの、原因菌を直接殺菌・死滅させる医療用抗生物質(抗菌薬)ではありません。
現場の泌尿器科医が指摘するのは、解熱鎮痛成分を含む市販薬を服用したことで一時的に痛みがマスキングされ、病巣で細菌が増殖し続けて腎臓へと駆け上がってしまう「受診遅延の罠」です。急性膀胱炎の段階であれば、医療機関で適切な経口抗菌薬の処方を受ければ数日で快方に向かいます。しかし、無理に市販薬で散らそうとして急性腎盂腎炎へ至った場合、経口薬だけでは抑えきれず、入院して朝夕の抗菌薬点滴管理を余儀なくされるという大きな代償を払うことになります。