現場の医師らが「従来型と明らかに異なる」と指摘する最大の要因は、2026年の流行株におけるウイルスの挙動と免疫獲得状況のギャップにあります。国立感染症研究所のウイルス分離データによると、今シーズンはA型(H3N2香港型およびH1N1pdm09)とB型(ビクトリア系統)が地域ごとに混在して検出されており、通常は冬の後半に増えるB型が早期から確認されるなど、流行時期のピーク予測が極めて難解な様相を呈しています。
インフルエンザウイルスの潜伏期間は通常1〜3日(最大4日)ですが、今季の流行株は気道粘膜への親和性が高く、自覚症状が極めて軽微な潜伏期終盤から強い感染力を持つことが確認されています。「熱が高くないから大丈夫」と過信した感染者が通勤電車やオフィス、学校内で活動を続けることにより、短期間でクラスターが形成される構造が浮き彫りになっています。
また、過去数年間の衛生環境の変化やワクチン接種パターンの推移に伴い、集団免疫の質が変化したことも影響しています。特に成人の間では、部分的な交差免疫によって発熱が抑えられる一方で、咽頭痛や全身の強い倦怠感だけが長く残るという「非典型的な臨床像」が顕著に現れています。