高級焼肉を探す際、多くの人が「A5ランク」という表記に目を奪われがちです。しかし、食肉格付協会の基準において「A5」とは、歩留等級がA(歩留まりが良い)で、肉質等級が5(サシの含有率が高い)であることを示す規格に過ぎず、必ずしも「肉の旨味や香りの強さ」を保証するものではありません。
現場の目利き職人によると、過剰に脂が入っただけの若牛の肉は、一口目は濃厚で美味しく感じられるものの、中盤以降は脂のくどさが先行し、コースの後半で食べ疲れを引き起こします。真の食通が姫路で高く評価するのは、オレイン酸含有率が高く融点の低い脂を持つ「長期肥育された雌牛」や、赤身本来の濃いアミノ酸の旨味を持つ「但馬系統の厳選牛」です。
また、「コースよりもアラカルトで好きな部位だけを頼んだ方がお得」というネットの噂も、高級店においては当てはまりません。名店が考案するコース料理は、前菜のユッケから始まり、塩焼き、タレ焼き、箸休め、締めのご飯ものに至るまで、脂と酸味、温度のグラデーションが計算し尽くされています。初訪問の店舗ほど、料理長の美学が凝縮されたコース料理を選択する方が、コストパフォーマンスと満足度の両面で圧倒的に勝るケースがほとんどです。