なぜ苦い?獅子柚子ジャムの失敗を防ぐ下処理と黄金比をプロが徹底解説

なぜ苦い?獅子柚子ジャムの失敗を防ぐ下処理と黄金比をプロが徹底解説

なぜ苦い?獅子柚子ジャムの失敗を防ぐ下処理と黄金比をプロが徹底解説に関する疑問を丁寧にまとめました。詳細な解説をご確認ください。

獅子柚子を手にした多くの人が陥る最初のトラップは、その名前に惑わされることです。植物分類学上、日本で親しまれている「本柚子」はミカン科ミカン属ユズ種ですが、獅子柚子(別名:鬼柚子)は東南アジア原産のザボン・ブンタン(プンメロ)の血を引く亜種に位置づけられます。つまり、獅子柚子と文旦の違いはほぼなく、果実の構造特性は完全に文旦そのものです。

果実を包丁でふたつに割ると一目瞭然ですが、果肉(砂瓤)は驚くほど小さく、水分が少なくてパサついています。重量の約8割を占めているのは、外側の黄色い果皮(フラベド)と、内側の分厚いスポンジ状の白いワタ(アルベド)です。「柚子ジャムと同じように果汁と皮だけで作ろう」とすると、スプーン数杯分しか作れないばかりか、果肉の薄皮(じょうのう膜)が硬く残り、口当たりの極めて悪い仕上がりになってしまいます。

さらに、柑橘類の苦味成分であるフラボノイド配糖体「ナリンギン」やリモノイドは、この白いワタの部分に集中して存在します。農研機構などの柑橘機能性研究でも示されている通り、これらは抗酸化作用を持つ有用成分である反面、適切な脱苦処理を行わなければ人間の舌には「えぐ味を伴う強い苦痛」として知覚されます。獅子柚子ジャムの成否は、この巨大なワタをいかに手懐けるかに集約されるのです。

山崎 陸
著者

山崎 陸

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。