童学寺を語るうえで避けて通れない出来事が、2017年3月27日深夜に発生した火災です。この災禍によって、江戸時代中期に建立された本堂や庫裏など主要な木造建築群が全焼するという、寺にとって最大の危機に直面しました。
しかし、この未曾有の悲劇の中で奇跡が起きました。本尊である国指定重要文化財「木造薬師如来坐像」(平安時代後期作)をはじめ、弘法大師像や貴重な仏画・什宝の数々が、住職や駆けつけた地域住民、消防団の手によって炎の中から無事に救出されたのです。仏像本体に致命的な損害はなく、文化財としての尊い命脈は保たれました。
火災直後から、寺の再建に向けた大規模な復興プロジェクトが始動しました。四国別格二十霊場会や檀信徒組織、さらには全国の遍路愛好家によるクラウドファンディングや寄付活動が集結。数年に及ぶ再建工事を経て、現代の耐震・防災基準を満たした新本堂および客殿・庫裏が完成しました。童学寺の現在の状況は、かつての痛々しい被災の爪痕を感じさせないほど清々しく整えられており、本尊の薬師如来も真新しい本堂内陣に安置され、参拝者を温かく迎え入れています。