ここ数年の最大の地殻変動は、外国人旅行者の流入による「ドヤ街の国際化」です。東京・山谷地区は上野・浅草・秋葉原へのアクセスが良好であり、成田空港直通の路線からも近いため、1990年代後半から欧米系バックパッカーの利用が始まりました。現在では全室Wi-Fi・エアコン・個別シャワー完備のモダンなホステルへ改装された施設が主流です。
大阪・西成(あいりん地区)周辺の変貌はさらに劇的です。関西国際空港から南海電鉄で直通する新今宮駅前には、2026年に星野リゾートが「OMO7大阪」を開業。駅周辺には外資系ホテルや大手ディスカウントストアが並び、スーツケースを引く訪日観光客が街頭を行き交う光景が日常化しました。
現地で営業を続けるゲストハウスのオーナーは、近年の変化について次のように述べています。
「以前は『女性の一人歩きは危険』と都市伝説のように語られていましたが、現在の利用客の4割近くはアジアやヨーロッパからの若い女性やカップルです。1泊2,000円台で泊まれる清潔な個室と、昭和レトロな下町情緒がSNSで拡散され、むしろ安全でユニークな滞在先として評価されています」
かつて日雇い労働者が酒を酌み交わした大衆酒場や立ち飲み屋にも若い世代やインバウンド客が自然に溶け込み、多文化が混在するフロンティア空間へと再定義されています。