カラオケで最も選曲トラブルが起きやすいのが、「男性が女性アーティストの曲を歌う」「女性が男性アーティストの曲を歌う」という異性曲へのアプローチです。声帯の長さや厚みが性別によって根本的に異なるため、原曲のまま歌うと高すぎるか低すぎるかの極端な状態に陥ります。ここにはプロも実践する明確な設定ルールが存在します。
男性が女性ボーカル曲を歌う場合
男性が女性の曲に挑む際のアプローチには、大きく分けて2つの有効な設定が存在します。
1つ目は、「キーを-4 〜 -6に下げる」設定です。女性ボーカルの楽曲は最高音がhiC〜hiE前後に設定されていることが多いため、4〜6半音下げることで、成人男性がサビで最も張りのあるミドルボイス(mid2G〜hiA付近)を響かせられるレンジへと収まります。原曲のメロディと同じ高さのオクターブでパワフルに歌い上げたい場合に最適です。
2つ目は、SNS等でも話題の裏ワザである「キーを+4 〜 +6に上げてオクターブ下(オク下)で歌う」手法です。「高くて歌えない曲のキーを上げる」という操作は直感に反するように思えますが、これには音響的な必然性があります。女性曲を原曲キーのままオクターブ下で歌うと、男性にとっては低音域(lowE〜lowG付近)に落ち込みすぎ、声がボソボソとくぐもって聴こえなくなります。そこでキーを敢えて4〜6音引き上げ、そのうえで1オクターブ下で発声すると、男性の最も響きの良い中低音域(mid1E〜mid2D付近)にメロディが移行し、マイク乗りの良い太い歌声へと激変します。
女性が男性ボーカル曲を歌う場合
女性が男性の曲を歌う場合は、迷わず「キーを+3 〜 +5に上げる」設定が王道です。近年のハイトーン男性曲であっても、AメロやBメロは男性らしい中低音(mid1C〜mid1E)で作られているため、女性が原曲の高さで歌おうとすると低すぎて全く声が出なくなります。
キーを3〜5つ引き上げることで、低音部が女性の無理のない地声音域へとリフトアップされ、サビの高音部は女性特有の澄んだ高音域(hiC〜hiE)で美しく伸びるようになります。楽曲の疾走感を損なうことなく、女性ボーカルのカバー曲のような華やかな雰囲気に仕立て直すことができます。