すしざんまいを運営する株式会社喜代村にとって、2026年から数年間続いたパンデミックが「創業以来最大の試練」であったことは疑いようがありません。同社のビジネスモデルは、他チェーンと比べても感染症禍の直撃を受けやすい構造的リスクを抱えていました。
同社の収益構造を支えていた柱は、主に次の3点です。
- インバウンド(訪日外国人観光客)の旺盛な消費:築地場外市場をはじめ、主要観光地での爆発的な集客力。
- 歓楽街立地と深夜のアルコール需要:客単価を引き上げる夜間営業と高回転率。
- 対面接客による職人握り:機械化を極力抑え、職人がカウンター越しに提供する付加価値。
緊急事態宣言や外出自粛要請によって、これらすべての強みが一夜にして裏目に出ました。インバウンド需要はゼロになり、夜間の飲食街からは人影が消え去りました。職人を多数抱えているため固定人件費の負担は極めて重く、報道各社の報道や業界関係者の証言によると、ピーク時には月間売上が平時の数分の一まで激減した時期もありました。
メディアの取材に対して木村清社長は当時、「従業員の雇用を最優先に守る」と明言し、大規模な解雇を行わずに雇用調整助成金や金融機関からの巨額の追加融資を活用して耐え忍ぶ姿勢を強調していました。しかし、その代償として数十億円規模に及ぶ借入金の増加と、数期にわたる実質的な赤字負担が同社のバランスシートを圧迫したことは紛れもない事実です。倒産こそ免れたものの、過去の潤沢なキャッシュで派手に動けた時代から、金融機関との返済計画に沿った堅実経営への転換を余儀なくされました。