1987年に佐渡ヶ嶽部屋から独立して創設された尾車部屋は、家庭的でありながら妥協のない稽古で知られ、多くの人気力士を輩出してきました。2022年2月、親方の停年を目前に控えたタイミングで部屋が閉鎖された背景には、明確な指導方針と後進への深い配慮がありました。
突然の閉鎖と受け止められがちですが、実際は弟子たちの将来を見据えた計画的な移籍統合でした。当時、部屋付き親方として後進の指導にあたっていた元関脇豪風(現・押尾川親方)が独立して押尾川部屋を新設し、元関脇嘉風(現・中村親方)も独立へのステップを着実に踏み出していました。
親方は自らの定年に伴い、所属力士や行司、床山が路頭に迷うことのないよう、押尾川部屋や二所ノ関部屋などへのスムーズな転属を取りまとめました。手塩にかけて育てた弟子たちに自らの相撲道を託し、次代の師匠として独り立ちさせるための温かい英断だったと言えます。