ネット検索で多用される「公正役場 何をするところ」という疑問に対し、法律の現場から即答するならば、「公証人が公正証書を作成し、契約や遺言などの法律行為に公的な証明を与える場所」となる。全国に約280カ所設置されている公証役場とは、法務省が管轄する機関であり、地域住民の権利保護と紛争の未然防止を担う砦だ。
ここで多くの人が混乱するのが、法務局と公証役場の違いである。両者は同じ法務省の系列に属するものの、実務の領分は明確に分かれている。法務局は主に不動産や会社の登記、戸籍・国籍事務、供託、そして自筆証書遺言書の保管制度を取り扱う「公の帳簿を管理・公示する行政機関」だ。対する公証役場は、私人間の契約や遺言といった意思表示を聴取し、真正な公文書として仕立て上げる「公証実務に特化した専門機関」という位置づけになる。
この公証役場で中核を担う公証人の役割は極めて重い。公証人は、30年以上の実務経験を積んだ元裁判官や元検事長、法務省幹部など、司法の第一線でキャリアを全うした法律のエキスパートから法務大臣が任命する実質的な公務員だ。当事者の真意を直接確かめ、内容が公序良俗に反していないか、法律に違反していないかを厳格に審査したうえで文書を作成する。単なる「代書人」ではなく、国家公証権を行使する独立した法律実務家として機能している。