加水分解とは、化合物が水(H2O)と反応することによって、より小さな分子へと分解される化学反応の総称です。身近な例で言えば、私たちが摂取したデンプンが体内でブドウ糖に分解される消化プロセスも加水分解の一種ですが、工業製品においては「製品の強度が失われ、破滅的な劣化を招く現象」として恐れられています。
特に標的となりやすいのが、スニーカーのミッドソールや合成皮革に多用されているポリウレタン(PU)という高分子化合物です。ポリウレタンの骨格を形成する結合様式の中でも、特に耐久性に弱点を抱えるのが「エステル結合」と呼ばれる分子構造です。この結合部に水分子が割り込むと、次のような化学反応式で示される不可逆な分解が起きます。
R-COO-R'(エステル化合物) + H2O(水) → R-COOH(カルボン酸) + R'-OH(アルコール)
長い鎖のようにつながることで弾力性や耐久性を保っていた高分子の結合が、水分子の攻撃によってバラバラに寸断されてしまいます。その結果、目に見える形となって現れるのが、あの忌まわしい崩壊現象です。