なぜ鼻をすするのか?職場での騒音問題や隠れた病気と正しい改善策

なぜ鼻をすするのか?職場での騒音問題や隠れた病気と正しい改善策

なぜ鼻をすするのか?職場での騒音問題や隠れた病気と正しい改善策について押さえておきたい ポイントを分かりやすく解説いたします。

周囲への迷惑だけでなく、すする当事者の肉体にも極めて深刻な代償が及ぶことは、一般にほとんど認知されていません。最大のリスクは、鼻をすする行為と中耳炎のリスクが直結している点です。

鼻腔と耳(中耳腔)は「耳管(じかん)」という細い管でつながっており、通常は気圧の調整を行っています。しかし、鼻を強くすする動作を日常的に繰り返すと、鼻腔内が急激な陰圧(バキューム状態)になり、耳管を通じて中耳腔の空気まで引っ張り出されてしまいます。その結果、鼓膜が内側に強く引き込まれ、中耳の粘膜から液体が滲み出る「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」を引き起こします。自覚症状としては耳の詰まり感や難聴が生じますが、本人は「鼻の奥がおかしい」と勘違いし、さらに強く鼻をすするという破滅的な悪循環に陥ります。

さらに恐ろしいのは、この陰圧によって鼓膜の一部が奥へと袋状に落ち込み、そこに耳垢や角化物が蓄積して周囲の骨を溶かしていく「真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎」へと進行するケースです。悪化すれば激しい難聴、めまい、顔面神経麻痺を引き起こし、全身麻酔下での骨削開手術を余儀なくされることも珍しくありません。

また、子どもの鼻すすり癖の背景にも十分な警戒が必要です。幼児から学童期の子どもは耳管が太く短く、水平に近いため、鼻腔内の細菌やウイルスを吸引陰圧によって中耳へと容易に逆流させてしまいます。もし我が子が頻繁に鼻をすすり、呼んでも返事をしにくそうにしていたり、テレビの音量を上げたりしている場合、それは単なるお行儀の問題ではなく、難聴を伴う中耳炎がすでに進行している警告サインと捉えるべきです。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。