混乱を招きやすい最大の原因は、現地で飛び交う「言葉の呼び名」が複数ある点にあります。台湾の社会構造と歴史を紐解くと、主に以下の3層に整理できます。
まず、「台湾語(ホーロー語 / タイギ)」は、17世紀以降に大陸の福建省から渡ってきた移民たちが持ち込み、定着させた土着の言葉です。歴史のルーツを辿ると、日本統治時代に日本語の単語(オートバイ、おじさん、注射など)が数多く取り込まれ、独自の変化を遂げました。現在でも南部エリアや年配層の家庭内言語として深く息づいています。
一方、第二次世界大戦後に国民政府が持ち込み、学校教育や公的機関の標準語として定着させたのが「国語(台湾華語)」です。台湾華語は北京語をベースにしているため、大陸の「普通話」と文法や基本語彙はほぼ共通しています。つまり、台湾の公用語として誰もが話せるのは「台湾華語」であり、「台湾語」は家庭や地域コミュニティで受け継がれてきた郷土言語という明確な住み分けがなされています。