路線バスの乗車方法で最も多くの人が混乱に陥る原因は、「前乗り」「後乗り(中乗り)」と「前払い」「後払い」の組み合わせが地域によって正反対になる点にあります。この仕組みを理解する最大の鍵は、その路線が「均一料金(どこまで乗っても同じ金額)」か「対キロ区間制(乗った距離に応じて運賃が変わる)」かという料金システムの違いにあります。
東京都区内の都営バスや主要都市中心部を走る路線の多くは、あらかじめ運賃が一律(都営バスの場合は大人210円など)と決まっているため、前乗り前払い均一料金が採用されています。乗客は前のドアから乗る瞬間に運賃箱へ現金を投入するか、端末に交通系ICカードを1回タッチするだけで精算が完了します。降りるときは運賃箱の横を通る必要がないため、後ろ(中)のドアからそのままスムーズに降りられる構造です。
一方、郊外や地方路線に広く普及しているのが後乗り後払い整理券方式です。乗った停留所と降りる停留所の距離によって運賃が異なるため、乗車口(多くは車両中央または後方の扉)で乗車証明となる「整理券」を取るか、ICカードをタッチして乗車位置を記録させます。そして目的地に到着した際、前方にある運賃表示機と自分の整理券番号を照らし合わせ、運転席横の運賃箱で精算して前ドアから降車します。
一部の都市や長距離路線では、運賃箱が前方に1台しかない構造のまま対キロ区間制を運用するために「前乗り後払い(前ドアから乗って整理券を取り、降りるときも前ドアで支払って降りる)」という変則パターンを採用しているケースもあります。乗車前に迷った際は、「バスの側面や扉付近に『入口』と書かれているのが前か後ろか」、そして乗車口に「整理券発行機があるかどうか」の2点を確認すれば、乗車方式を瞬時に判断できます。