小林製薬株式会社の歴史は、事実上「小林家」の強力なリーダーシップの歴史そのものだった。長年にわたりトップに君臨した小林章浩前社長らが退任を余儀なくされた背景には、同族経営特有の意思決定の遅れや、情報開示における閉鎖性への強い批判がある。
後を継いだ山根聡社長に課された最大のミッションは、単なる組織の延命ではない。外部の風を徹底的に入れ込む企業ガバナンス改革の断行だ。創業家が築き上げた迅速な商品開発スピードという美点の裏で、形骸化していたリスク管理体制をいかに再構築するか。経営の透明性を確保するため、社外取締役の権限強化や内部通報制度の抜本的見直しが急ピッチで進められている。だが、染み付いた企業カルチャーを塗り替える作業は容易ではない。