戸愚呂弟がこれほどまでに愛される最大の理由は、ハードボイルドで詩情あふれる台詞回しにあります。原作の冨樫節と、アニメ版声優・玄田哲章氏の重厚かつ哀愁を帯びた演技が見事に融合し、数々の名言が誕生しました。
例えば、暗黒武術会の会場で静かに語った「酒はダメなんで オレンジジュースください」という台詞は、威圧感の中にどこか理知的な律儀さを滲ませる名場面として知られています。また、幽助の戦いぶりを見届けた際の「他の誰かのために100%の力を出す…それがお前達の力だな」という独白は、独善的な強さを求めて孤立した自分自身への痛烈な反省と、幽助たちへの惜しみない賛辞が込められていました。
さらに、Netflixで世界配信された実写ドラマ版において、俳優の綾野剛氏が演じた戸愚呂弟も大きな反響を呼びました。極限まで絞り込まれた肉体美に加え、瞳の奥に深い孤独と虚無を宿した立ち居振る舞いは、原作ファンからも「単なる怪力キャラクターではなく、悲哀を背負った戸愚呂弟の本質を完璧に捉えている」と絶賛を集めました。