この温泉地を象徴するのが、湖の上に突き出るように造られた湖上露天風呂だ。風のない日に広がる静かな東郷湖の水面と、湯船を満たす湯面が、まるで一枚の鏡のように視界の中で溶け合う。夕刻、空が茜色から深い群青へと移ろい行くグラデーションのなか、渡り鳥の羽音に耳を澄ませる体験は唯一無二だ。
近年の意匠改修により、各宿の露天風呂はプライベート感を重視した設計へと進化した。混雑に煩わされることなく、刻一刻と表情を変える湖景を独占できる。夜になれば湖面にぽつりと浮かぶシジミ採り船の灯りが揺れ、幻想的な情景が目の前に広がる。