街を歩けば、どこか懐かしいビジュアルが目を引く。若い世代を中心に爆発的な広がりを見せる昭和レトロブームは、単なる一時の流行を超え、デザインの主要なトレンドとして定着した。その象徴とも言えるのが、四隅が丸みを帯び、独特の温かみのある走査線を放っていたブラウン管テレビの造形美だ。
映画『ALWAYS 三丁目の夕日』が描き出したような高度経済成長期の情景には、当時のテレビ文化が持つ独特の温もりが息づいている。巨匠・手塚治虫が手掛けた初期のアニメーションやテレビ用イラストレーションの系譜は、簡素でありながら力強いシルエットと、感情をストレートに伝える記号性に溢れていた。このクラシックな造形言語が、デジタルツールで緻密に描かれた現代のデザイン空間に新鮮な風を吹き込んでいる。