フリーイラストを利用する上で、知恵袋やSNS等で広く流布している情報の中には、法的な根拠を欠いた危険な誤解が多数混在しています。現場取材で見えてきた代表的な3つの誤解を正しく解体します。
誤解1:「トリミングや色変更など加工を加えれば、別の著作物になる」
「拾ってきた女の子のイラストにフィルターをかけたり、髪の色を変えたり、反転させれば著作権侵害にならない」と信じているユーザーがいますが、これは明確な誤りです。著作権法には「翻案権(著作権法第27条)」および「同一性保持権(著作権法第20条)」が定められており、原作者の許可なく改変する行為自体が権利侵害を構成します。素材サイト側で「加工自由」と明記されている場合を除き、無断での大幅な改変やトリミングは規約違反となります。
誤解2:「非営利目的の活動であれば、どんな素材も無断で使い放題」
学校の行事やサークルのチラシ、非収益の同人活動であっても、著作権が免除される範囲は法律上極めて限定的(著作権法第35条の学校教育利用など、厳格な要件を満たす場合のみ)です。素材サイトの規約に「商用・非商用問わず許諾」と書かれていない限り、私的使用の範囲(個人的に部屋に飾る、パスワード付きの自分用端末内に保存するなど)を超えて第三者の目に触れる形で公開すれば、公衆送信権や複製権の侵害に問われる可能性があります。
誤解3:「作者がSNSで配信用に使っていいと言っていたから、何年後でも永久に使える」
個人イラストレーターがSNS上で配布した「フリーアイコン」に多く見られるのが、後日トラブルになるケースです。配布当初は好意で無料公開していたものの、活動方針の変更やプロデビューに伴い「過去のイラストの利用許諾を取り消す」と宣言されたり、アカウントごと削除されたりすることがあります。利用規約が恒久的に管理されたWebサイトと異なり、個人のSNS投稿による口頭許諾は後からのトラブル解決が難しいため、長期的なプロジェクトや公式アカウントでの恒常的な利用には適していません。