伝説的なシリーズとなったチャーミーグリーン「手をつなぐ夫婦」篇の撮影現場には、徹底されたリアリティへのこだわりが存在していた。出演していた夫婦の多くはプロの役者ではなく、オーディションで選ばれた実際の一般人夫婦や、長年連れ添った素人のペアだったという。だからこそ、カメラが捉えた演技を超えた自然な照れ笑いや絆の深さが、画面越しにもまっすぐに伝わってきたのだ。
ロケーション撮影の現場では、監督から細かな演技指導はほとんど出されなかった。ただ「いつものように歩いてください」という指示のもと、青空と緑豊かな街並みをバックに自由に歩いてもらったという。広告業界においても、過剰な演出を削ぎ落とし、市井の人々のありのままの表情を切り取った手法は極めて先進的であり、懐かしの昭和CMを代表する傑作として語り継がれる理由がここにある。