首都圏の水需要において中核を担うのが、群馬県・栃木県に跨がる利根川上流8ダム(矢木沢ダム、奈良俣ダム、藤原ダム、相俣ダム、薗原ダム、八ッ場ダム、草木ダム、下久保ダム)です。これらのダム群は、首都圏へ安定して生活用水・農業用水・工業用水を供給するための巨大な調整弁として機能しています。
なかでも「首都圏の水がめの心臓部」とも呼ばれる矢木沢ダムの現在の貯水量は、利根川水系全体の運用を左右する最重要指標です。矢木沢ダムは総貯水容量が群を抜いて大きい反面、冬季の降雪量と春先の融雪出水、そして初夏の梅雨前線による降雨が十分に得られない場合、貯水率が急速に低下する特性を持ちます。
国土交通省 関東地方整備局が発表する関東ダム貯水率のリアルタイム速報値や利根川ダム群の貯水率推移を確認すると、近年の気候変動に伴う降雪の偏水や空梅雨傾向の影響が色濃く現れています。八ッ場ダムなどの比較的新しい施設が運用に加わったことで治水・利水の両面で柔軟性は増しているものの、下久保ダムや草木ダムの貯水量を含めた全体バランスを注視しなければならない状況が続いています。