SNSや健康志向のトレンドにおいて「ジェラートはアイスクリームよりカロリーが低いから太らない」という説が広く拡散されています。この論調には、栄養学的な盲点と誤解が潜んでいます。
確かに「脂質」の観点で見れば、100gあたりの乳脂肪分が8〜15%以上に達する濃厚アイスクリームに対し、ジェラートは4〜8%前後に収まるため、脂質由来の摂取カロリーは明確に低く抑えられます。乳脂肪を植物油脂で代用している一部のラクトアイスと比べても、上質なミルク由来のジェラートは代謝への負担が穏やかです。
しかし、見落としてはならないのが「糖質(糖度)」の存在です。
ジェラートはマイナス8度前後のやわらかい状態で結晶化を防ぎ、滑らかな舌触りを保つために、ブドウ糖やショ糖などの糖類を科学的に計算して配合しています。特に果実をふんだんに使用したフルーツ系フレーバー(ソルベタイプ)は、乳脂肪分こそゼロに近いものの、凝固点を下げるために高濃度の糖分を含んでいるケースが多々あります。
また、ピスタチオやヘーゼルナッツ、チョコレートといった人気の濃厚系フレーバーは、ナッツ自体の良質な脂質と高密度のペーストが加わるため、1食あたりのカロリーが200〜250kcal超に達し、一般的なプレミアムアイスクリームと変わらない数値になることも珍しくありません。
「ジェラートだから何を食べても太らない」と盲信するのは危険であり、脂質カットを狙うのか、糖質を抑えたいのかによって、選ぶべきフレーバーを厳密に見極める必要があります。