一方、女子の自虐的オタクカルチャーを洒脱なポップカルチャーへと変貌させたのが、ヒットメーカー東村アキコの手掛けた『海月姫』だ。男子禁制のアパート「天水館」に集うクラゲオタクや鉄道オタクなどの「アマーズ」たちは、恋愛やファッションを拒絶して自らの世界に閉じこもる、まさにスタイリッシュな喪女の群像劇だった。
本作は、社会の「女らしさ」の要求に馴染めない女性たちが、異質な存在と出会いながら自身のアイデンティティを肯定していく過程を描き出した。海外のフェミニズム批評家からも「従来の少女漫画が描いてきたシンデレラストーリーを解体し、ありのままの自己受容を描いた傑作」と絶賛され、いまなお色あせない評価を保ち続けている。