近年、ドラマ界を最も沸かせたのは「会話劇のフォーマット革新」だ。バカリズム脚本の『ブラッシュアップライフ』は、地元トークの些細な日常会話の積み重ねが、やがて壮大なタイムリープ救出劇へと結実する奇跡的な構成で世界的な評価を受けた。
一方で宮藤官九郎が世に放った『不適切にもほどがある』は、昭和のダメ親父を令和にタイムスリップさせ、現代の過度なコンプライアンス意識や不寛容さをミュージカル仕立てで笑い飛ばした。両者に共通するのは、長台詞の心地よいグルーヴ感と、誰も傷つけない優しさの奥にある批評性だ。日常の何気ないおしゃべりこそが、最高のドラマを生み出す原動力になることを証明してみせた。