電撃文庫から刊行された水瀬葉月による原作小説と、SILVER LINK.が手掛けたアニメーション版。この二者の間には、メディア特性の違いを超えた明確なアプローチの差異が存在する。原作の魅力は、主人公・夜知春亮の心理的葛藤と、登場する「呪われた道具(ワースペイス)」の伝承や構造に関する執拗なまでのテキスト描写にあった。
一方、大沼心監督率いるアニメ制作陣が選択したのは、色彩とカッティングによる視覚的ショック療法の徹底だ。原作では心理描写の積み重ねによって生み出されていた狂気と緊迫感を、アニメ版では前衛的な画面構成と鮮烈な陰影処理によって瞬時に叩きつける手法へと再構築した。一部の凄惨なエピソードの順序を大胆に組み替えることで、全12話という限られた尺の中に「救済と破滅」のダイナミズムを凝縮させた判断は、今振り返っても極めて挑戦的だったと言える。