ネット上の建築デザイン大学ランキングやデザイン誌の特集を見ると、建築学科に入れば誰もが安藤忠雄氏や隈研吾氏のような「華やかな意匠建築家」になれるかのような錯覚を抱きがちです。しかし、これは建築学科を目指す受験生が最も陥りやすい罠です。
建築の世界は大きく分けて以下の3領域で構成されています。
- 意匠設計:建物の外観・空間デザイン、機能配置、コンセプト策定
- 構造設計:地震や風力に耐えうる柱・梁の計算、地盤工学、耐震技術
- 環境・設備設計:空調・給排水・電気配線・省エネ性能の最適化
実のところ、建築業界全体で「意匠デザイナー」として自立できる人材は一握りに過ぎません。近年、脱炭素社会やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)への要請、耐震基準の厳格化に伴い、求人倍率と給与水準が急上昇しているのは圧倒的に「構造系」および「設備系」のエンジニアです。
デザイン至上主義に偏った大学を選んでしまうと、デザインの才能で突き抜けられなかった際に、構造や設備の専門性が身についておらず就職で立ち往生するリスクを孕みます。手堅いキャリアを築くためには、意匠だけでなく構造解析や環境シミュレーションに強い研究室を抱える大学を選ぶ視点が不可欠です。