店頭や動物病院で目にする通常版「フロントライン」と「フロントラインプラス」。この2つの製品において、具体的に何が異なるのかを正確に理解している飼い主は決して多くありません。その決定的な差は、第2の有効成分である昆虫成長制御剤(IGR)「(S)-メトプレン」が配合されているか否かにあります。
通常版に配合されているフィプロニル単体は、すでにペットの体に飛び乗ってきたノミやマダニの「成虫」を24〜48時間以内に駆除する力を持っています。しかし、成虫が吸血を開始してから死滅するまでのわずかな間に産み落とされた「卵」、およびそこから孵化した「幼虫」には効果を発揮できません。
対するフロントラインプラスは、(S)-メトプレンの働きによって、卵の孵化と幼虫からサナギへの変態を強力に阻止します。室内飼育環境において、ノミ被害の本体は目に見える成虫(全体の約5%)ではなく、カーペットやソファーの隙間に潜む卵・幼虫・サナギ(全体の約95%)です。このライフサイクルを根本から断ち切ることができる点こそが、プラス製剤の真価と言えます。
臨床現場において、通常版はすでに過去の選択肢となりつつあり、現在の主流は完全にフロントラインプラスへとシフトしています。マダニが媒介する「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」の致死率が人間側でも問題視される情勢下、マダニに対するフロントライン 効果持続期間は約1ヶ月であるため、シーズン中は4週間に1回の定期投与を継続することが防衛の最低ラインとなります。