ネット上の言説では「ヤクザと半グレは敵対関係にある」と語られることが少なくありません。しかし、現場の捜査員や裏社会の内情を知る関係者の証言によれば、それは一面的な見方に過ぎず、実態は「利用し合う共生関係」にあります。
暴対法と暴排条例によって手足を縛られたヤクザにとって、自ら表立って犯罪行為を行えば即座に組織壊滅に直結します。そこで、法規制の緩い半グレやトクリュウを「外注先(下請け)」として利用する構図が定着しました。ヤクザ組織が蓄積してきた資金洗浄(マネーロンダリング)のルートや逃走支援、覚醒剤などの密輸ルートを半グレに提供し、その見返りとして特殊詐欺や強盗で得た収益の一部を「上納金」や相談料として吸い上げる仕組みです。
半グレ側にとっても、ヤクザの威光や武力、トラブル時の仲裁機能は都合の良い後ろ盾となります。お互いが不可分に結びついた結果、犯罪の元締め(指示役・黒幕)には指定暴力団の影がちらつきながらも、実行部隊は実体のない匿名グループという「多層防御」が完成してしまいました。
これに対し、警察庁は2024年以降、部門の垣根を越えた「匿名・流動型犯罪グループ対策プロジェクト」を本格稼働させました。SNS上のリクルートアカウントに対する警告やアカウント凍結、サイバー追跡技術の強化、マネーロンダリングの徹底遮断など、従来の暴力団対策とは全く異なるアプローチで取り締まりを進めています。