納豆の摂取が文字通り「死の引き金」になり得る唯一かつ最大のケースが、血液をサラサラにする抗凝固薬ワーファリン(一般名:ワルファリンカリウム)を服用している患者の摂取です。循環器内科において、この組み合わせは単なる注意レベルではなく完全禁忌(絶対禁止)に指定されています。
ワーファリンは、肝臓で血液凝固因子が作られる際に必要なビタミンKの働きを阻害することで、血管内に血栓ができるのを防ぐ薬剤です。心房細動や人工弁置換術後、深部静脈血栓症の治療などに広く処方されています。しかし、納豆にはあらゆる食品の中でも群を抜いて豊富なビタミンK(メナキノン-7)が含まれています。
納豆をわずか1パック、あるいはスプーン1杯食べるだけでも、体内のビタミンK濃度が一気に跳ね上がり、ワーファリンの薬効が完全に無力化されます。さらに厄介なのは、納豆に含まれる納豆菌が生きたまま腸内に定着し、数日間にわたって腸内で新たなビタミンKを産生し続ける点です。これにより薬が効かなくなった血管内では急激に血栓が形成され、心原性脳塞栓症や広範な心筋梗塞を発症して突然死に至る危険が極めて高くなります。