2人の運命が交錯したのは、2010年秋に放送され社会現象を巻き起こしたNHKドラマ『セカンドバージン』でした。出版業界の敏腕女性プロデューサーと、20歳年下の妻子あるネット系ベンチャー企業社長の不倫愛を描いた本作で、激しい恋に落ちる主人公・るいを鈴木京香が、運命の相手・行を長谷川博己が熱演しました。長谷川博己は名門・文学座出身で舞台俳優としての評価は高かったものの、映像の世界ではまだ無名に近い存在でした。一方の鈴木京香は、名実ともにトップ女優の座に君臨していました。
現場での2人は、演技プランを巡って連日のように濃密なディスカッションを交わしていました。撮影当時、関係者が「長谷川さんの鬼気迫る演技に対する情熱に、京香さんが強く感銘を受けていた」と振り返るように、役柄を超えたリスペクトが急速に芽生えていきます。実生活での年齢差は9歳(鈴木京香が1968年生まれ、長谷川博己が1977年生まれ)。さらに当時は圧倒的な「知名度格差」「収入格差」が存在しましたが、翌2011年の映画版『セカンドバージン』の公開前後には本格的な交際へと発展しました。
交際初期、メディアはこぞって「格差カップル」「年下俳優の売名」などと書き立てました。しかし、長谷川博己はその後、ドラマ『家政婦のミタ』『デート〜恋とはどんなものかしら〜』、映画『シン・ゴジラ』、そして2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の主演・明智光秀役に至るまで、自らの実力だけで階段を駆け上がりました。鈴木京香の威光を借りることなく、対等な表現者として肩を並べたプロセスこそが、2人の関係を唯一無二のものにした原点といえます。