「砂かぶり」というキーワードで検索すると、大相撲と並んで頻繁にヒットするのが、プロ野球・広島東洋カープの本拠地であるMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島のマツダスタジアム砂かぶり席だ。この座席は、球場設計時に大相撲の溜席から着想を得て命名された、プロ野球界屈指の人気シートである。
グラウンド面よりも数十センチ低い位置に座席が掘り下げて設置されており、ファールグラウンドのすぐ脇から、文字通り選手のスパイクが蹴り上げるグラウンドの土煙や砂をかぶるような視線で観戦できる。しかし、大相撲の溜席とは明確な違いがある。
マツダスタジアムの砂かぶり席は、強固な防護ネットで打球の直撃から守られており、飲食もビールを片手に楽しむことが許されている。あくまでも「現代的ベースボールエンターテインメントのプレミアムシート」として設計されているのに対し、大相撲の砂かぶり席は「神事の儀礼空間の一部」だ。同じ「砂かぶり」という名を冠していても、漂う緊張感と文化的文脈は対極に位置している。