鹿児島港に拠点を置く第十管区海上保安本部の救難担当者らは、春先から秋口にかけて急増する気象急変に伴うトラブルに神経を尖らせている。プレジャーボートや遊漁船の小型船舶事故の多くは、出航時のベタ凪に惑わされ、沖合での風回りやうねりの増幅を計算に入れていない初歩的な判断ミスから生じているという。
「天候が崩れてから港へ引き返そうとしても、逃げ場のない外洋のうねりに行く手を阻まれる」――現場の保安官が口を揃える現実だ。第十管区海上保安本部は、スマートフォン向けに配信される沿岸防災情報や海の安全情報を出航直前まで確認し、少しでもウネリの立ち上がりが見られる場合は出航を見合わせる勇気を持つよう繰り返し呼びかけている。海難と無事の境界線は、わずか30分の退避決断の差にある。