SNSやネットレシピでは「放置するだけで誰でも安全にできる」と手軽さばかりが強調されがちですが、低温・余熱調理には衛生管理上の重要な境界線が存在します。
鶏肉にはカンピロバクターやサルモネラ属菌といった食中毒菌が付着しているリスクがあります。厚生労働省の安全基準では、肉の中心部を75℃で1分以上(または65℃で15分以上、70℃で3分以上と同等の加熱)加熱することが定められています。
切り分けた際に肉の中心部が透明感を帯びたピンク色であったり、赤い肉汁が染み出してくる場合は加熱不足です。その際は無理に食べず、耐熱皿に移してラップをかけ、電子レンジで30秒〜1分ほど再加熱してください。「柔らかさの追求」と「衛生面での安全性」のバランスを崩さないことが肝要です。
また、茹で上がった後の茹で汁をそのまま捨ててしまうのは大きな損失です。鶏胸肉から溶け出したイノシン酸などの旨味成分や水溶性アミノ酸が凝縮された茹で汁は、ネギの青い部分や生姜の薄切りと一緒に煮立たせ、塩・コショウ・ごま油をひと回し加えるだけで、極上の鶏ガラ風中華スープへと変身します。