自宅での簡易検査で無呼吸の兆候が確認された場合、あるいは簡易検査の結果がボーダーラインでより確定的な診断が求められる場合に行われるのが、ゴールデンスタンダード(確定診断の基準)とされる終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG: Polysomnography)です。
精密検査の一泊入院の流れは、夕方18時〜19時頃に入院受付を済ませることから始まります。シャワーなどを済ませた後、臨床検査技師の手によって頭部や顔面、全身に多数の電極・センサーが装着されます。具体的には以下の生体信号を同時に一括測定します。
- 脳波・眼球運動・オトガイ筋筋電図:睡眠の深さ(ノンレム睡眠の各ステージ・レム睡眠)や覚醒状態を秒単位で判定
- 鼻・口の気流センサーおよび胸腹部呼吸努力バンド:気道の閉塞による無呼吸か、脳の呼吸中枢異常による無呼吸(中枢型)かを識別
- 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2):無呼吸に伴う低酸素血症の深刻度を測定
- 心電図・下肢筋電図:不整脈の合併や周期性四肢運動障害の有無を監視
- いびき音センサー・体位センサー:仰向けや横向きなど寝姿勢による症状の変動を記録
翌朝6時〜7時頃にセンサーを取り外し、そのまま退院して仕事や日常生活へ向かうことができるスケジュールが一般的です。一泊入院によるPSG検査の自己負担額(3割負担)は、検査費用と入院基本料を合わせて約15,000円〜30,000円前後となります(差額ベッド代の有無によって変動)。
検査の結果、診断の根幹となるのがAHI指数(無呼吸低呼吸指数)です。これは、10秒以上の気流停止を「無呼吸」、換気量が低下して酸素飽和度が3%以上下がる状態を「低呼吸」とし、1時間の睡眠あたり何回発生したかを示す指標です。医学的な重症度判定基準は次のように明確に定められています。
- 正常(基準値以下):AHI 5未満
- 軽症:AHI 5以上 15未満
- 中等症:AHI 15以上 30未満
- 重症:AHI 30以上
保険診療で経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)を導入するためのCPAP治療の適応基準には厳密なルールが存在します。自宅の簡易検査では「AHI 40以上(呼吸障害指数REI 40以上)」の極めて重篤なケースでなければ即座に保険適用CPAPへ移行できません。簡易検査でAHI 20〜39程度の中等症と出た場合は、この一泊PSG検査(または在宅型精密PSG検査)を実施し、「PSGにおけるAHIが20以上」であることを医学的に証明して初めてCPAPの継続保険適用が認められます。