シフォンケーキの成否の8割はメレンゲの出来栄えで決まると言っても過言ではありません。パティシエが現場で実践するメレンゲ泡立て方のコツは、「温度管理」と「砂糖を加えるタイミング」の2点にあります。
使用する卵白は、作業直前まで冷蔵庫でしっかり冷やし、ボウルのフチに薄氷が張る程度(冷凍庫で10分ほど冷やす)にしておくのが理想的です。冷えた卵白は泡立ちの立ち上がりこそ遅いものの、キメが非常に細かく、熱に強い強固な気泡膜を作ります。
ハンドミキサーを使う際は、まず砂糖を入れずに高速で白っぽく泡立て、全体のカサが3倍程度に増えてから砂糖を3回に分けて投入します。1回目で細かな泡を固定し、2回目でツヤを出し、3回目で粘りと安定性を強化します。最終的な仕上がりは、「ツノの先端がほんの少しだけお辞儀する状態」がベストです。ツノがピンと立ちすぎるほど泡立てるとボソつきの原因になり、逆に柔らかすぎると焼き縮みを引き起こします。仕上げに低速で1分間ボウルの中をゆっくり回し、大きな気泡を潰してキメを均一に整える作業を忘れてはいけません。
もうひとつの重要工程が卵黄生地の「乳化」です。卵黄に砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜたら、油を少しずつ加えながら素早く混ぜ合わせ、さらに水分を加えて完全に一体化させます。ここで油浮きのない滑らかなマヨネーズ状のエマルションを作ることが、底上げを防ぐ最大の防波堤となります。