ゆうちょ銀行が2022年1月に「硬貨取扱料金」を新設した際、SNSやネット掲示板では「ゆうちょ 硬貨 手数料 改悪」というワードがトレンド入りし、大きな波紋を呼びました。その後、利用者からの強い要望を受けて2024年4月に一部料金の緩和(窓口無料枠の再設定など)が行われましたが、完全な無料化には至っていません。
金融機関が小銭の預け入れを有料化せざるを得ない背景には、単なる利益追求ではない硬貨の取り扱いコストという物理的な構造問題が存在します。
第一に、硬貨は紙幣に比べて体積と重量が圧倒的に大きく、運搬・警備・保管にかかる物流コストが膨大です。第二に、ATM内部の硬貨鑑別センサーやベルトコンベアなどの機械部分は、硬貨の汚れや摩耗、異物混入によって故障しやすく、維持管理に年間数十億円規模の費用が発生します。さらに、日本銀行への硬貨持ち込み時にも手数料が課されるようになったことで、金融機関が独自にコストを吸収することが困難になりました。
ネット上では「子どもの貯金箱文化を奪うのか」「神社の賽銭やお寺のお布施を預け入れられない」といった悲痛な声が上がりましたが、キャッシュレス決済の普及と現金管理の合理化を進める国全体のメガトレンドにおいて、現金インフラの受益者負担化は避けられない現実となっています。