『MFゴースト』本編において、成長した大人の藤原拓海が現在の時間軸で大々的に顔を出してレースを走るシーンは、結論から言えば存在しません。作者であるしげの秀一氏が選んだのは、直接的な主役交代劇ではなく、「伝説の不在」を通じてその偉大さを際立たせる演出でした。
物語の序盤、読者とファンを驚愕させたのは単行本第3巻第25話における衝撃の事実開示です。主人公の片桐夏向(カナタ・リヴィントン)が駆るトヨタ86の異次元なドリフトコントロールの背景に、かつて群馬の峠を揺るがした藤原拓海の教えがあったことが明かされます。劇中では関係者の証言や当時のモノクロ写真、背中越しのシルエットという極めて限定的な描写に留められながらも、その存在感は全編を支配しています。
さらにアニメ版『MFゴースト』においては、ファンへの最大のサプライズとして、かつて『頭文字D』で藤原拓海役を務めた声優・三木眞一郎氏が次回予告やオープニングのナレーションを担当しました。劇中で拓海の名前がコールされる瞬間の緊迫感と三木氏の声が重なる演出は、オールドファンにとって鳥肌が立つほどのカタルシスを生み出しています。