この騒動は、世界的なメディア企業をも巻き込む波乱を引き起こした。アニメーションの金字塔を打ち立てた創業者ウォルト・ディズニーの遺産である「くまのプーさん」のブランド価値は、思いも寄らない形で政治的文脈を帯びることになったのだ。
ウォルト・ディズニー・カンパニーは、巨大市場である中国でのビジネス展開とブランドイメージの保護という厳しい板挟みに苛まれた。実写映画『プーと大人になった僕』の中国国内での公開が不自然な形で送りにされた経緯は、グローバルなエンターテインメント業界全体に冷ややかな打撃を与えた。巨大な資本力を持つ企業であっても、国境を越えた検閲の影からは逃れられないという残酷な現実が露呈したのである。