彼女の名を日本全国のあらゆる世代に知らしめた最大の転機といえば、NHKの連続テレビ小説『ブギウギ』でのヒロイン・花田鈴子役だろう。戦後の日本を明るい歌声で照らした笠置シヅ子をモデルにしたこの難役で、歌い、踊り、泣き、笑う生命力あふれる女性を見事に演じ切った。
劇中で披露された圧巻のステージシーンは、吹き替えなしの歌唱力とバレエ仕込みのしなやかな体のキレが融合した奇跡的な場面だった。単なる伝記ドラマの枠を超え、ひとりの表現者が命を削って役柄と一体化する凄みが画面越しに伝わり、視聴者の心を掴んで離さなかった。この大役に挑んだ経験は、彼女にとっても役者人生の大きな節目となったに違いない。