高川学園といえば、かつて全国選手権で話題をさらったぐるぐる回るセットプレー「トルメンタ」が記憶に新しい。しかし、2026年の現チームはそうした一発のアイデアだけに頼る集団ではない。圧倒的な走行量と高密度のポジショナルプレーを融合させた、極めて現代的なフットボールを展開している。
その戦術的中核を担うのが木下だ。相手のプレスラインの隙間にすっと顔を出し、ワンタッチで展開を変えるパスを供給する。彼がボランチやトップ下の位置でボールを保持するだけで、チーム全体に溜めが生まれ、サイドバックの果敢なオーバーラップを促す時間が作られる。
「相手のブロックの外で回すのは誰でもできる。重要なのは、最も危険なエリアに誰がどのタイミングで侵入するかだ」。試合後の取材でそう語った彼の言葉には、単なる高校生の域を超えたフットボールIQの高さが滲み出ていた。