新宿の海老ラーメン店を訪れた者が必ず直面するのが、行列の待ち時間と理由です。とりわけ「新宿三丁目 ラーメン 行列」の代名詞でもある五ノ神製作所では、平日であってもオープン前から20人前後の列ができ、ピーク時には60分待ちが常態化しています。なぜ、ここまで人々は並んででも食べたいと熱望するのでしょうか。
その真相は、一般的なラーメン店とは一線を画す海老出汁スープの真相と仕込みの異常なまでの手間にあります。厨房関係者への取材によると、海老は豚や鶏のガラと比べて原価率が極めて高く、加熱時間や温度管理を少しでも誤ると嫌な生臭さやエグみ、苦味が一気に表面化してしまう極めてデリケートな食材です。
五ノ神製作所では、寸胴一杯に詰め込まれた海老の頭部を香ばしく炒め上げ、香味野菜の甘みとともに丁寧に乳化させています。これにより、甲殻類特有の香ばしいアロマ成分「ピラジン」を最大限に引き出しつつ、滑らかな舌触りを生み出しています。一方の一幻では、毎日大量に仕入れる新鮮な甘海老の頭から独自製法で抽出した「えび油」と、じっくり煮出したクリアな海老スープを注文ごとに小鍋で合わせ、熱々の状態で提供。スープ表面に浮かぶ特製の紅生姜天かすが、脂っぽさを打ち消す緻密な計算も施されています。