伊藤沙莉が後年のインタビューや番組出演時に度々語っているのが、主演の天海祐希から受けた強烈なプロフェッショナリズムの影響です。
当時の撮影現場において、天海祐希は阿久津真矢というキャラクターの威圧感と恐怖を維持するため、休憩時間中も子役たちと一切馴れ合いをせず、徹底して冷徹な距離感を保っていました。当時小学生だった生徒役の子どもたちにとって、カメラが回っていない時間すら張り詰めた緊張感に満ちていた現場環境は、演技を「ごっこ遊び」ではなく「命がけの仕事」として捉える決定的な契機となりました。
また、同世代の筆頭であった志田未来の存在も強烈な刺激でした。神田和美として涙を流し、理不尽に耐え抜く志田未来の鬼気迫る受けの芝居に対し、伊藤沙莉たちいじめ役側も本気でぶつからなければ画面が成立しないという極度のプレッシャーがありました。この現場で叩き込まれた「相手の芝居に即座に反応する反射神経」こそが、現在の伊藤沙莉の持ち味である卓越した会話劇の巧さへと直結しています。