外見上はどちらも「落ち着きがない」「集団行動から外れてしまう」ように見えるため、保護者や周囲が見分けるのは容易ではありません。しかし、行動を引き起こしている「動機」と「脳機能のメカニズム」には明確な違いが存在します。
両者の本質的な違いを理解するために、以下の対比を押さえておくことが重要です。
① 行動のきっかけと目的
ADHDにおける多動は、「新しい刺激への強い欲求」や「脳内の覚醒水準を保つための無意識な身体の動き」から生じます。興味が次々と移り変わり、思いついた瞬間に体が動いてしまうのが特徴です。
一方、自閉スペクトラム症における多動は、「特定の刺激(光・音など)に対する過敏反応」「見通しが立たない不安の解消」「自分のこだわりパターンの実行」によって引き起こされます。
② コミュニケーションのつまずき方
ADHDの人は、相手の表情や文脈を察知する能力自体はあるものの、衝動性から「相手の話を遮って一方的に喋ってしまう」傾向が見られます。
対してASDの人は、言葉の裏にあるニュアンスや暗黙のルールを読み取ることが難しく、「文脈に合わない発言をする」「共感的なやり取りが成立しにくい」という質的な違いが現れます。