しかし、調子に乗りすぎた代償はあまりにも大きかった。「ガリガリ君リッチ ナポリタン味」――この商品名を聞くだけで、赤城乳業の関係者は今でも身の毛がよだつという。
ナポリタン特有のトマトケチャップ風味、炒めた玉ねぎの甘み、さらにはピーマンの苦味まで再現しようとした結果、完成したのは「アイスとして食べてはいけない何か」だった。一口目の好奇心には勝てても、二口目を食べ進めることが困難な味わいに、リピーターは皆無。店頭には手つかずのナポリタン味が山積みとなり、最終的に約3.200,000本が売れ残った。
この失敗によって生じた損害額は、およそ3億円と言われている。会社としては壊滅的な赤字であったが、赤城乳業はただで起き上がらなかった。「取り返しのつかない大失敗」を潔く認め、自虐的なCMを打ち出すことで、むしろ消費者からの愛着とブランドの信頼を獲得するという奇策に出たのだ。失敗すらもエンターテインメントに昇華させる姿勢は、多くの話題を呼んだ。