地域住民の警戒を解くように、「〇〇地区にお住まいの皆様へ」「集中洗浄キャンペーン」といった見出しでポスティングされるチラシ。なぜ「3,000円」という破格の数字を提示できるのでしょうか。現場取材によって判明した排水管高圧洗浄チラシ3000円の真相は、極めて巧妙なマーケティングトラップです。
チラシの隅に目を凝らすと、ミリ単位の極小フォントで「※1箇所のみの基本料金」「※配管1mあたりの単価」「※3m以上の作業は追加費用」といった制約条件が記載されています。作業員は現場に到着すると、まず屋外の最も作業しやすい排水マス1箇所だけを高圧洗浄機で軽く流し、「これで3,000円分の作業は終了しました」と告げます。その直後、ファイバースコープカメラの映像や、長年溜まった油脂の塊を見せつけながら、次のように畳み掛けるのです。
「奥さん、ここから先のメイン配管が油脂で完全に詰まりかけていますよ。今すぐ全部洗浄しないと、明日にも台所のシンクやトイレから汚水が逆流して床下が水浸しになります」
多くの住宅所有者は、専門家を自称する作業員から「逆流」「床下の腐食」「数十万円の修繕費用」という強い言葉を突きつけられるとパニックに陥ります。結果として、「マス1箇所追加につき1万5,000円」「配管延長1mごとに5,000円」「特殊薬剤注入で3万円」と加算され、作業終了後には15万円から30万円前後の請求書を突きつけられる事態に発展します。3,000円は家の中へ上がり込み、住人の不安を直接煽るための「入室チケット」に過ぎないのです。