歯の本数をめぐっては、インターネット上でいくつかの誤った常識が流通しています。健康な歯を長く維持するために、客観的な事実を知っておく必要があります。
誤解1:「歯が抜ける主な原因は虫歯である」
若い世代では虫歯による抜歯が目立ちますが、40代以降で歯を失う最大の原因は「歯周病(約37%)」です(日本臨床歯周病学会などの調査より)。次いで虫歯(約29%)、歯の破折(約18%)と続きます。歯周病は初期段階で強い痛みがなく、骨が溶けてグラグラになってから初めて気づくため、「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれます。痛くないからといって放置することが、将来的に一度に複数本の歯を失う最大の引き金となります。
誤解2:「親知らずは生えてきたら必ず抜かなければならない」
「親知らず=即抜歯」というイメージが定着していますが、これも一概には言えません。上下の親知らずがまっすぐ生えてしっかり噛み合っており、歯磨きも行き届いて炎症を起こしていない場合は、無理に抜く必要はありません。将来的に他の大臼歯を失った際の「自家歯牙移植」のドナーや、ブリッジの土台として活用できるメリットもあるためです。ただし、横向きに埋まって手前の歯を圧迫している場合や、清掃困難で周囲が腫れを繰り返している場合は、早期抜歯が推奨されます。